ウシオライティング株式会社、戸田建設株式会社、株式会社村田製作所の3社は、2013年2月22日、次世代病院向け照明システム「スマートホスピタルライティングシステム」を共同開発し、実証実験を開始したことを発表した。
同システムは、病院での生活で弱りがちとなる“生体リズム(サーカディアンリズム)”を、患者の身体に、LED光による昼夜変化を体感させることで維持し、生活サイクルの安定を図るというもの。
具体的には、電池なしで信号を送信することができる電池レス無線スイッチと、「ZigBee(ジグビー)」と呼ばれる照明制御技術を組み合わせることで、離れた場所からの照明制御を可能にしている点や、また、日の出(朝)から、日中(午前・午後)、日没(夕方)、夜間(就寝前)、深夜(消灯)までの“サーカディアンリズム”を「色温度制御(ケルビンコントロール)」で再現している点が、システムの大きな特徴として挙げられている。
ちなみに、「生体リズム(サーカディアンリズム)」とは、生物の約24時間周期で変動する生理現象のことで、睡眠から覚醒などの間のホルモン分泌や、体温変化のコントロールを行う、人間の体内時計を指している。
同システムの舞台となる「スマートホスピタル」は、戸田建設が目指す次世代病院のことで、室内の光環境をはじめ、患者の快適性を高めることによって人のもつ治癒(ちゆ)力を呼び起こすなど、“患者にやさしい空間”を提供していくことが必要としている。
そして、「スマートホスピタル」では、“照明”を入院中患者の生活サイクル基盤を整える要素ととらえており、朝の目覚めや日中の覚醒、就寝前の落ち着きといった、人本来の1日単位での生活サイクルの安定を、“照明”によってサポートできると考えているそうだ。
今後、同システムは、今回の実証試験の後、埼玉県や千葉県内の病院への今夏導入が予定されている。
「病は気から」といった言葉もある。入院している以上、何らかの「気」では解決しない面もあるのかもしれないが、普段の生活とは異なるリズムが人間本来の治癒力を妨げるケースがないとはいえないだろう。決して異空間ではない、病院にいても心に安らぎを覚えるような「明かり」の効果に期待したいものだ。
ウシオライティング株式会社リリース
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