最新型ジェットエンジン「GEnx」が搭載されたボーイング787としては初となる飛行試験が、2010年6月16日にシアトルで行われた。
同エンジンは、米GE社を中心に2004年に開発が開始され、IHIのほかに、伊アビオ社(Avio SpA)、スウェーデンのボルボ・エアロ社(Volvo Aero)などがRSPとして参加している国際共同開発事業。IHIは、RSPとして約15%のシェアで本エンジンの設計・開発・製造に参画しており、低圧タービン部と高圧圧縮機後段部を担当している。
「GEnx」は、250席クラスの中型機(ボーイング787)に双発、500席クラスの大型機(ボーイング747-8)に4発搭載されるエンジン。推力は、5万5,000~7万5,000ポンド。特徴としては、バイパス比が世界最高水準の約10となっており、推進効率の向上、燃費の効率化、騒音の低減が図られている点や、空気を取り込むファン翼やファンケースには、複合材を採用し、低圧タービン翼には軽量で耐熱性に優れているチタンアルミナイドを採用しており、大幅な軽量化が図られている点が挙げられる。
ボーイング787は、愛称ドリームライナーと呼ばれる最新型の中型ジェット旅客機のこと。中型ながらも燃費性能の向上や機体の大幅な軽量化により、大型機並みの航続距離や燃料コストの縮小が見込まれており、世界中の航空会社からの受注があるが、開発自体は大幅に遅れている。
なお、RSP(Revenue Sharing Partner)とは、エンジンの開発および量産を分担し、参加シェアに応じてエンジンおよびスペアパーツの販売収入を得る収入配分方式の事業参加者。また、バイパス比とは、ジェットエンジンのファンのみを通過し、圧縮機、燃焼器に吸い込まれない空気量と圧縮機、燃焼器に吸い込まれる空気量との比率のこと。バイパス比が高いほど、燃費効率が良いといわれている。
厳しい経営状況を強いられている航空業界で、コストが大幅に削減できるために「夢のジェット機」と歓迎されているボーイング787。ただ、現実問題として軽量化の実現には障害があるようだ。乗り越えなくてはならない壁を知恵と情熱で突破すべきときだ。
IHIリリース
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