ロンドン空港近海の藻類が燃料に
航空機や車を利用する方にとって頭を悩ませるのが燃料の価格。今は落ち着いているものの、またいつ価格が変動するかもわからない。そこで石油燃料の代わりとして注目を浴びたのがバイオ燃料である。今、イギリスのクランフィールド大学で研究されている
「新たなバイオ燃料」が注目を集めている。
バイオ燃料というのは、トウモロコシやサトウキビなどの安価な穀物を発酵・ろ過することでエタノールを作り出し、これをガソリンの代替とするものである。有限資源である石油の代わりになる他、温暖化の原因である二酸化炭素が排出されないというエコの面でも優秀な燃料だ。その一方で材料が“食料”でもある穀物という問題も残っている。
「新たなバイオ燃料」はその材料が違う。なんと、海で採取できる
「藻類」を利用するというのだ。
この「藻類燃料」の研究は、ブリティッシュ・エアウェイズやエアバスなど航空大手の支援を受け、藻類を大量培養する技術開発から始められている。クランフィールド大学のフィアガル・ブレナン教授は、4年以内に商業ベースでの実用化が可能との見通しを立てている。
年に1度だけの収穫となる穀物と違い藻類の成長は早く、7~12日ほどで収穫することができる。総収穫量が穀物に比べて多く、食料生産を脅かす恐れがない点で優秀である。しかし一方でブレナン教授は「
藻類燃料を唯一の『特効薬』ととらえるべきではない」とも話している。
藻類燃料だけに頼れば、トウモロコシの価格高騰と同じように「ワカメの価格が高騰しています」なんてことにもなりかねない(無論これはたとえ話であるが)。発電施設に水力・風力・原子力などがあるように様々な方法を用いることが、安定した燃料の供給を可能とするのだろう。
クランフィールド大学
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