独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT)は、2013年1月21日、世界で初めて、825次元「格子の最短ベクトル問題」を解くことに成功したと公表している。
「格子の最短ベクトル問題」とは、クラウドサービスを提供する際に、機密データの処理を安全に行えるよう暗号化する技術である「完全準同型暗号」が、“格子理論”を利用していることから、何次元までの“格子”を解けるか評価するためのテストのようなもの。
今回、NICTと株式会社日立製作所は、共同で開発したプログラムの実証のために、独ダルムシュタット工科大学が主催する解読コンテスト「TUDarmstadt Lattice Challenge」に挑戦した結果、これまでの世界記録を更新する825次元格子の「最短ベクトル問題」を、市販の汎用サーバを用いて、5日半で解くことに成功したという。
この「問題」が注目されるのは、クラウドサービスの普及により、これまで組織内のサーバで行われていた処理が、組織外で行われることになり、その処理に用いる“機密データ”活用の際に安全性を高める技術の必要性が急激に高まっている事情があるようだ。
今後、同機構では、クラウド上での秘匿情報処理の実用化に向け、安全性を検証していくとのこと。
今回の技術には、暗号化した後でも計算処理ができるそうだ。業務に活用されつつあるスマートフォンやタブレットは、そもそもクラウドサービスとの連携が切り離せないようつくられているともいう。機密データの中でも、分類が行われ、ソフトランディングで導入されるのが望ましいのではないだろうか。
独立行政法人情報通信研究機構リリース
[PR]