独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT)は、電子ホログラフィ方式で、視域角15度、表示サイズ対角4cmでカラー動画表示できるシステムを、世界で初めて開発したことを発表した。
今回、NICTが開発した表示システムでは、3300万画素、対角4cmの超高精細液晶表示素子を3枚用いているが、表示素子1枚につき、角度にして5度強の方向の光しか再生できないため、右向きの光、正面向きの光、左向きの光を再生するために素子3枚をそれぞれ用いて、素子1枚の場合の約3倍の方向の光を再生することを可能とし、水平方向に15度という広い視域角を実現している。
なお、カラー表示には、時分割カラー方式が用いられている。
また、3300万画素超高精細表示素子を用いたことで、ホログラフィ像を表示できる面積を従来の約2倍に拡大し、視域角が広くかつ表示面積も大きい、従来に比べてより見やすいカラー動画ホログラフィ表示を実現できたとのこと。
電子ホログラフィとは、写真乾板のような平面の記録媒体に光の情報を記録し、また、記録した光を自由に再発生することができる技術のこと。動画の再現を目的とし、電子的な手段でホログラフィを実現を試みている。
ちなみに、視域角とは、立体像を観視できる角度のこと。
時分割カラー方式とは、ある瞬間には3枚ともに赤色用ホログラムを表示し、次の瞬間には3枚ともに緑色用ホログラム、さらに次の瞬間には3枚ともに青色用ホログラムを表示し、これらを順次繰り返すことによりカラー表示を行う方式のこと。
通常のカラー表示では、表示素子3枚に赤色用ホログラムと緑色用ホログラム、青色用ホログラムをそれぞれ同時に表示することで、カラーの映像を1秒間に60回書き換えて動画像を表示しているが、今回の時分割カラー表示では、毎秒書き換え速度(フレーム周波数)は20回(20Hz)になっている。
テレビからネットへ映像を視聴するチャネルは、徐々にシフトしつつあるようだ。そのトレンドに対応するためには、目的となる動画自体の品質を高める必要が生じる。配信経路と同時に表示する技術も重要だ。
独立行政法人情報通信研究機構リリース
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