JST課題解決型基礎研究の一環として、東京大学、慶應義塾大学の研究チームは、SSDメモリのエラーを飛躍的に削減し、電力を半減以下にするデータ変調技術と、伝送線路結合を用いた世界最速の非接触インタフェースを世界で初めて開発したことを発表した。
今回、東京大学のグループは非接触SSDのメモリの信頼性向上技術や低電力技術を、慶應義塾大学のグループは非接触SSDとホスト機器間のインタフェースの高速化技術を開発した。
具体的には、SSDメモリに搭載するメモリコントローラー内で、フラッシュ・メモリに書き込むデータを変調することにより問題を解決し、エラーを95%削減することによって信頼性を向上し、43%の低電力化を実現した。また、磁界と電界の結合を用いた伝送線路結合素子を世界で初めて近接通信に用いて、毎秒12ギガビットの通信実験にも成功した。
SSDメモリに関しては、今後データセンター・サーバーなどへの応用が期待されているが、長期間の使用では誤動作が生じたり、電力が大きくなる問題があり、また、従来の磁界結合を用いた通信方式では、非接触メモリカードの高速伝送が困難とみられていた。
ちなみに、SSDとは、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置のこと。ハードディスクドライブ(HDD)と同じ接続インタフェース(ATAなど)を備えているが、ディスクやモーターを持たないことで、読み書きの高速化や消費電力の省電力化が図られている。
遺伝子の組み換えによる生産量を増加させる技術には、危うさを覚えるものだが、電気信号の変調に関しては「健全な」利用法なのだろう。ただ、変調という言葉には、デジタルに塗り替えられてゆくアナログへの郷愁をなぜかしら覚えてしまう。
科学技術振興機構(JST)リリース
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