古野電気株式会社は、2013年3月29日、複数の衛星システムを同時受信可能な、車載対応のマルチGNSS(Global Navigation Satellite System)受信LSIチップを、国内で初めて開発したことを発表した。
今回開発されたLSIチップの製品名は、『eRideOPUS 6(イーライド・オーパス6)』と『eRideOPUS 7(イーライド・オーパス7)』。
都市部における精度向上に期待
米国のGPS測位衛星や日本の準天頂衛星システム「みちびき」だけでなく、静止衛星による位置補正システム「SBAS(エスバス)」や欧州連合(EU)が構築中の「Galileo(ガリレオ)」、ロシアの「GLONASS(グロナス)」の衛星電波などについても、同時に受信可能で、“測位率”の改善、特に、都市部での位置精度向上に期待が集まっているようだ。
ちなみに、準天頂衛星システム「みちびき」は、2010年9月11日、H-2Aロケット18号機により打ち上げられたもので、準天頂衛星システムとは、いわゆる「日本版GPS」。複数のGPS衛星と組み合わせることで、ビルの谷間や山陰でも、カーナビを使って、高精度に位置情報を得ることができる。
また、このLSIチップには、アンチ・ジャミング機能(妨害波対策)や、耐マルチパス機能(反射波対策)を搭載することで、ノイズ除去性能も強化されており、トンネルなど電波が届かない場所でも高精度の測位を実現可能としている。
まずは、5月のサンプル出荷を目指す
今後、同社では、5月中旬から、同LSIチップのサンプル出荷を開始し、8月以降、カーナビゲーションシステムや国内外の車載アプリケーション向けに、チップを搭載した小型GNSS受信モジュールや、自律航法GNSS受信モジュールの量産販売も開始する予定とのこと。
「測位率」いわゆる、衛星システムの電波を受信することで、地表面上や空中で自らの位置を知ることのできる制度を表わす数値のことだが、今回対象となるカーナビだけでなく、スマートフォンなどでのGPSを活用したサービスへの依存度も高められる一方、技術の向上は歓迎すべきだが、それだけに頼りすぎないよう、人間の能力を衰えさせない気構えもお忘れなく。
古野電気株式会社リリース
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