伊藤忠商事株式会社は、2013年1月7日、英国アンタレス社との業務提携により、同国ロイズ保険組合の行う引受事業への参入を発表した。
ロイズ保険組合とは、保険料を支払って保険金を受け取る人の代理人である「ブローカー」と、保険に関わる事故が起きた際、費用を負担する人に代わって保険を引き受ける「アンダーライター」を会員とする自治組織のこと。英国議会制定法によって法人化されている。1996年には、日本国内における唯一のロイズ保険組合の窓口として、総代理店のロイズ・ジャパンが設立されており、また、1997年には、日本で損害保険事業の認可を受けてもいる。
ターゲットは、「アジア・オセアニア」
今回の取り組みは、二通りある会員の中で「アンダーライター」に関するもの。同社が目指す海外保険事業展開への第一歩となり、また、ロイズ保険組合のアジア戦略にも合致することから、その動きが現実化することにそう多くの時間を要することはなかったとみられている。
国内の保険事業を展開する企業の海外進出に関しては、見込みのある海外企業を買収することで、リスクを極力抑えるアプローチも考えられるが、「信頼」がベースとなる保険業務の場合、海外それぞれの地域になじんで育てるアプローチのほうが、長期的に企業自体の引き出しも蓄えられるのではないだろうか。
ここ数年の政治的課題となっている「TPP」。関税撤廃による農業分野での競争力を危ぶむ声もあるが、実際は、保険など農業以外の分野での海外企業流入が大きな衝撃となるとの意見もあるようだ。条約をめぐる環境は不透明とも言えそうだが、これまでのやり方に固執することなく、競争相手の手法を理解するべく取り組みから得るものは決して小さくはないのだろう。
伊藤忠商事株式会社リリース
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