大日本印刷株式会社は、フィルムやガラスなどの基材上に液状の材料を塗布する「塗布プロセス」において、液状の材料が装置内部でどのような動きをするのか、その流動現象を高速かつ高精度にシミュレーションする技術を開発した。
同技術により、塗布装置や塗布装置を使用した製品の開発期間が、半分以下に短縮可能となる。
塗布プロセスとは、フィルムやガラスなどの基材に液状の材料を塗布し、精密な薄膜を形成する手法のことで、今回、同社では、数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)理論を用いた独自の高速演算手法を開発するとともに、解析の精度や安定性を高めるための先端解析手法を導入し、複雑な流動現象を高速かつ高精度に解析する手法を開発した。
数値流体力学とは、川の流れや空気の流れ、自動車や航空機がスムーズに運行できる流れや、スポーツでいえば競泳水着や陸上競技のユニフォームなど、さまざまな「流れ」をコンピュータを用いてシミュレーションする学問のこと。どれだけ正確で早く計算できるかが研究のおもなテーマとなっている。
塗布プロセスの改善がもたらすものは何なのか。液体シリコン材料から、薄膜シリコン太陽電池を作製する技術も開発されているように、ある何かの物質の表面に「塗りつける」ことで、新たな価値を生み出す考え方は、既存のものを活用する「リサイクル」の概念にもつながるのではないだろうか。塗装職人の“腕”をみるには、「まんべんなく」塗ることができるかどうかともいわれるらしい。よどむことで生まれるムラを減らすための努力は、今後も一層望まれることだろう。
大日本印刷株式会社リリース
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