凸版印刷株式会社は、2013年3月21日、同社のオリジナル書体である『凸版明朝体』と『凸版ゴシック体』をベースにした、電子出版コンテンツの読みやすさを重視した新書体の開発および試作の実施を発表している。
新明朝体は、「印刷」を考慮しない
まず、「本文用の新しい明朝体」は、電子端末で表示する場合に、印刷工程による文字の太り(つぶれ)がないことから、従来の『凸版明朝体』文字の線の太さを再検討し、また、日本語の長文を縦組で表現した場合の読み心地に関しても考慮を加えて、デザインを改良している。
次に、「本文用の新しいゴシック体」では、日本語の文章中に横文字の増加している点や、文章を横組で組む機会が増えている点を考慮して、長文を横組で表現した場合に最大の読み心地が得られるようにデザインを改良している。また、従来のゴシック体で多く見られた文字の上下のラインをそろえるデザインではなく、文字が持つ固有の大きさや形を尊重して、文章に自然な抑揚を持たせることにより、リズム感があり心地よく読み進められるデザインを実現している。
新ゴシック体は、横組文章への対応強化
本文以外にも、「見出し用の文字」では、活字の伝統を引き継ぎ、力強い筆勢を感じさせる「36ポイント活字」を基準にデザインを刷新しており、「欧文の文字」の場合は、電子媒体上で、和文と欧文の違いがみえ、さらに文章中での存在感を持たせるようデザインされている。特に、ゴシック用の欧文は、力強い線画でリズム感のある“和文”のイメージにマッチさせている。
今後、同社では、「本文用の新しい明朝体」について、2013年夏ごろのサンプル出荷を、2016年春までには、「本文用の新しいゴシック体」や「見出し用の文字」などを加えた5書体の提供開始を目指していくことになっている。
ただでさえ目の疲れが尋常でない端末画面での読書には、手軽さの半面、長時間読みふける楽しさを困難にさせる面をも有しているのではないだろうか。今回の取り組みのような、画面に写す文字の最適化への試みは、電子書籍の普及がすすみ、読み手である利用者の増加が、電子書籍商品への顧客満足度向上に関わる対応を迫っている表れなのかもしれない。
凸版印刷株式会社リリース
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