豊田通商株式会社(以下、豊田通商)と近畿大学は、クロマグロ完全養殖事業において技術協力提携を締結したことを発表した。
併せて、同社は、長崎県五島市において、世界初の完全養殖種苗の中間育成会社『株式会社ツナドリーム五島』(以下、ツナドリーム五島)を設立した。
『ツナドリーム五島』は、長崎県五島福江島において、中間育成用の海上イケスを設置し、近畿大学から完全養殖クロマグロの人工孵化種苗及びクロマグロ種苗育成ノウハウの提供を受け、天然ヨコワの漁獲サイズにまで育成を行う施設。
協業の内容としては、「近畿大学からツナドリーム五島への完全養殖クロマグロ人工孵化種苗の提供」や、「ツナドリーム五島の事業場所におけるクロマグロ種苗の中間育成に関する諸技術の指導」などとなる。
ちなみに、近畿大学は、1948年に水産研究所を開設し、クロマグロの養殖に関する研究は、1970年から取り組み、天然稚魚を網イケスへ入れて養殖する試みとして開始した。1979年には天然稚魚から飼育した親魚が世界で初めて産卵し人工孵化・飼育に成功、さらに2002年には人工飼育した親魚が産卵する世界初の完全養殖技術を達成した。2007年、国内の養殖業者へ人工孵化稚魚(ヨコワ)を約1,500尾出荷し、2009年にはその生産尾数を約40,000尾に拡大して産業規模の種苗生産を実現している。
マグロやカツオなど、泳いでいないと死んでしまう魚は、養殖が困難であると言われてきたが、今回の考え方はあくまでも食材としての「マグロ」をどう確保するかといった視点からであり、地球の生態系に影響を及ぼす類のものではない。マグロの漁獲量の減少が叫ばれる昨今、商業主義に走りすぎない節度が求められよう。
豊田通商株式会社近畿大学リリース
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