富士通株式会社は、北海道農業共済組合連合会と上川中央農業共済組合の協力を仰いで、2012年8月9日から10月31日まで、農業共済加入時の作付面積確認業務における実用性を評価するための実証実験を行っている。
今回の実証実験では、画像の輪郭を強調する“フィルター処理”と、必要な輪郭を抽出する“エッジ抽出”の技法をより高い精度で統合させた、同社独自の「画像解析」技術が採用されており、人工衛星・航空機が撮影した水田の画像から、同技術を用いて作成された、“水田と畦(あぜ)の境界”を認識した「水田区画図」を、これまで行ってきた人手で作成した「水田区画図」と比較することで、その“実用性”が検証されることになっている。
実験は、北海道上川郡鷹栖(たかす)と、旭川市東鷹栖(ひがしたかす)の2か所で行われ、同社は、今回の実証実験の結果を元に、2013年4月までに、同技術による「水田区画図」作成サービスの実用化を目指すことになる。
ちなみに、農業共済制度とは、農家が台風や集中豪雨などの自然災害を受けた場合に、その損失を耕作面積・作付品目などに応じて補てんするというもの。農業災害補償法に基づき、国の農業災害対策として実施されている。
ただ、これまでは、こういった農業共済業務を行うために、毎年、農業共済に加入している農家から提出される「異動申告」の内容を、実地と比較しながら確認する労力と、確認に伴う手作業での「区画図」更新は、加入農家と共済組合の双方にとって、大きな負担となっていたもので、「農業共済」という“制度”を維持するための「区画図」更新作業の効率化は、特に、制度を運用する側にとっては何よりも「重要な課題」であり、GISを活用した「区画図」作成の実用化に向けて、大きく踏み出したともいえよう。
ちなみに、「異動申告」とは、水田から他作物に転換する農地の情報や、他作物から水田に転換する農地の情報を共済組合に申告するための書類のこと。また、GIS(Geographic Information System)は、地理的にみた“位置”に関する情報を持ったデータを加工して、表示された画像から、分析や判断を行うシステムのこと。
民間の保険会社などに比べて、どう見てもゆるかった農業共済にも、IT化の波は押し寄せる。何がどう「正確」になったのか、土地の境界にことさら敏感な日本人を納得させることができるだろうか。
富士通株式会社リリース
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